こんにちは! びるこです。
ブログ訪問ありがとうございます。
ここ数週間、1冊の本を懸命に読んでおりました。
今日は読み終わった今の気持ちを忘れないよう、書いていこうと思います。
それでも、日本人は「戦争」を選んだ
私が懸命に読んでいた本は、東京大学文学部教授の加藤陽子先生の著書〝それでも、日本人は「戦争」を選んだ〟です。
最初にお伝えしておくと、私は近現代史に疎く歴史大好き女子ではありません。
朝日出版社ホームページより
本書は2009年に刊行され、2010年に小林秀雄賞を受賞しています。
実家に帰省した際に父の本棚で発見して、タイトルに衝撃を受けたため借りてきました。
「それでも」って逆接の接続詞から始まるタイトルにやられてしまいましたし、パラパラとめくると挿絵や図もあって興味をそそられます。
朝日出版社ホームページより
私は高校で日本史Bを学びましたが、近現代史ってどうもサラーっと終わりがちというか、何なら授業の時間も足りなくなって最後は駆け足になった記憶があります。
今後生きていく中で最も重要な部分なのに時間足りないって何事って感じなのですが、他国と日本の関わりも複雑になっていく中での駆け足授業で、ちんぷんかんぷんになって終わった近現代史という印象です。
すっかり大人になった今、高校の先生のせいにしていても何も進みませんので、普段は小説ばっかり読んでいますが夏休みの宿題を自分に課すべく読んだ次第です。
(もうすっかり秋が到来していますね)
この本は、加藤陽子先生が神奈川県の進学校である栄光学園の生徒さんに対して5日間の集中講義を行った記録になっています。
歴史研究部に所属する中1〜高2までの生徒さんが参加していたという事でしたが、まぁハイレベルな討論で開いた口がポカーン( ゚д゚)となりました。
おそるべし栄光学園…歴史研究部…
加藤先生は言っています。
若い人々には、自らが国民の希望の星だとの自覚を持ち、理系も文系も区別なく、必死になって歴史、とくに近現代史を勉強してもらいたいものです。
理系を言い訳に歴史をふんわり学んできた私にはグサっと刺さりました。
頑張ります。
日本近現代史を考える
この本の目次は以下のようになっています。
- 序章 日本近現代史を考える
- 1章 日清戦争 —「侵略・被侵略」では見えてこないもの
- 2章 日露戦争 —朝鮮か満州か、それが問題
- 3章 第一次世界大戦 —日本が抱いた主観的な挫折
- 4章 満州事変と日中戦争 —日本切腹、中国介錯論
- 5章 太平洋戦争 —戦死者の死に場所を教えられなかった国
引用:それでも、日本人は「戦争」を選んだ 380ページ挿絵
4章のサブタイトルが渋く、これを言った胡適さんが個人的には本書の中では1番強烈でした。
各章の中で、先生からの質問がバンバン飛んできます。
- リンカーンが南北戦争の途中で「人民の、人民による、人民のための」と演説しなければならなかった事情を25文字で答えてください
- 不満足国家である日独伊が擡頭するのを防ぐには、イギリスはどうすればよかったか?
- 日清戦争後の日本の国内政治で最も変わったことは何か?
などなど、栄光学園の生徒は先生も唸るような解答をどんどん出しますが、私は置いてけぼりです。笑
でも、先生が優しく待っていてくれたので途中退出することなくなんとか最終日の講義まで辿り着けました。
最終日は生徒からの質問に先生が答えていく形から始まります。
- 日本とアメリカには圧倒的な戦力差があることはわかっていたのに、どうして日本は戦争に踏み切ったのか
- 日本は戦争をどんなふうに終わらせようと考えていたのか
この本のタイトルにも繋がりますが、「日本人はなぜ戦争を選んだのか」という疑問が明らかになっていきます。
これが答えですという単純な解答は出てきません。
読み終わったけど、それでは解答を400字以内で論じてくださいと言われたら、しどろもどろになる自信しかありません。
ただ、1930年代の日本国内の状況と各国の情勢を細かく理解していかなければ論ずることはできないのだと学びました。
かつて、普通のよき日本人が「もう戦争しかない」と思った。世界最高の頭脳たちが「やむなし」と決断した。
世界を絶望の淵に追いやりながら、戦争は
きまじめともいうべき相貌をたたえて起こり続けた。その論理を直視できなければ、かたちを変えて戦争は起こり続ける。
膨大な歴史の情報を全て理解することは出来ませんが、日本人の安全感に対する問題が今も起こり続けている中で、過去を正確に知ることは不可欠なのだと学びました。
戦争を知らない世代の私たち
私は戦争を知りません。
しかし、その悲惨さだけは何度も知る機会があったし、夏になれば毎年テレビで終戦特集が流れるのを目にしています。
祖父母の戦争体験も何度も聞きました。
私たちは出兵した方や被害に合った方の話を聞く機会の方が圧倒的に多く、何故戦争が起こったのかを正確に語ってくれる人に出会うことは稀です。
「それでは、なぜ当時の日本人は戦争に踏み切るしかないと思ったのか班に分かれて討論してみましょう」
という授業にも出会わずに大人になってしまいました。
歴史に限らず、何事も感情が入ると正確性が薄れるものだと思いますので、淡々とユーモアも交えて講義をし、本にしてくださった加藤陽子先生にとっても感謝しています。
各国の要人たちの手紙や日記の内容まで詳細に書かれていて、読むのに苦労しましたが大変勉強になりました。
そして、父の本棚でこの本を見つけられた事を嬉しく思っています。
これ絶対読んだ方が良いよと勧められると、何故か読む気が薄れてしまうタチなので(笑)自ら手に取る事が重要でした。
歴史の試験は論述で書かせなければだめ、論理的に説明できる力は暗記ではないのだ
年号の暗記で歴史の試験を乗り切ってきた私が論述できるようになる日はまだまだ遠そうですが、少しずつこれからも勉強していこうと思います。
これにて、びるこの夏の課題図書〝それでも、日本人は「戦争」を選んだ〟の感想ブログを終わりたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。