びるこブログ

ビールが大好きな病院薬剤師(育休中)

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緊急避妊薬市販化の重要性について

こんにちは! びるこです。

 

今日は「緊急避妊薬、アフターピル」について書いていこうと思います。

なるべくゆるく読めるように、私の過去の経験と市販化への考えをまとめました。

 

 

先進国では緊急避妊薬について

知らないのは愚か、知らせないのは罪

と言われています。

とても良い言葉だなーと初めて知ったときに思いました。

避妊やアフターピルの存在を周知する事で、犠牲にならず救える良い命がたくさんあるということです。

トイレで若い女性が1人で出産したというニュースを私達は何度目にすれば良いのでしょうか。知らせないのは罪、医療従事者に刺さる言葉です。

 

日本で緊急避妊薬のノルレボ錠が承認されたのは2011年の事です。

他の先進国より10年以上遅れての承認だったようです。

私はこの時大学5年生の病院実習中で、ノルレボの新薬説明会を聞きに行ったことを覚えています。

こんな薬があるなら早く承認して欲しかった! と思ったのは、私が2010年に性被害に合っていたからです。

同意の有無とは?

内閣府男女共同参画局の調査によると、成人女性の約15人に1人は性被害にあっています。

実際はもっと高確率とも言われていますが、その中で実際に警察に届けているのは10人に1人くらいだそうです。

同意のない性交渉は全て暴力です。

私は10代の頃、暴力や性被害とは無縁で、アットホームな家庭でぬくぬくと育ちました。

なので、性暴力とか暴行というのは自分とは無縁なものだと何となく思っていたのです。(脳ミソお花畑)

 

その時は一緒に飲んでいた男性が豹変してマンションに連れ込まれてしまいました。酩酊状態でほとんど記憶はありません。

そのような被害にあった時にどのような心境になるかというと、とにかく周りに知られたくないってなります。何も無かったことにしようとします。

なので、婦人科とか警察とか相談に行きたくないわけです。

「ノコノコついて行く脳みそお花畑女も悪い」なんてよく聞きますよね、なので私も自分が悪かったのだと思いました。

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出典:藤子・F・不二雄ドラえもん」より

 

のび太くんは優しい。

 

私は被害にあったとき記憶がなかったため1番心配だったのは避妊の有無ですが、事実確認は出来ませんし、初めての経験でどうしたら良いか分からなかったので何もせず次の生理が来るまで1人でビクビクしていました。最悪の事態も想像はしましたが、無事生理が来てホッとしたのを覚えています。

 

今の知識で考えれば、ノルレボ承認前でも緊急避妊はヤツペ法で可能でしたし、警察に届ければ緊急避妊の費用を公費援助してもらう事もできます。

何も中絶費用まで自己負担だ! お金ないから1人で産んでなんとかする! と自分を追い詰めなくても良いわけです。

大切なのは、まず相談する事です。

でもそれが出来ない心境になる事を私は知っています。

 

このような経験もあり、緊急避妊薬の市販化について日本ではまだ議論中ですが、私は市販化に賛成です。私はこっそり買えるなら買いたかった。少しでも安心したかった。

 

市販化されてからの課題はまだたくさんありますが、手に入れやすい環境にすることは絶対に必要です。

 

オンライン診療は可能になっていますが、住んでる地域の問題で72時間以内に薬を手に入れられない事もあると思うので市販した方が良いと考えます。

承認されたら販売を担うのは薬局薬剤師の皆さんですが、私も薬剤師としてブログを書くことで被害にあったり不安を抱えている女の子達の助けになれればと思い発信しています。

 

あくまでも今回は性暴力に関して言及しました。

男女ともに知識がなく正しい避妊を行わなかった場合に薬を気軽に使える事を推奨するわけではありません。

緊急避妊薬の乱用は絶対に合ってはならないので、先ずは正しい性教育が優先かと思います。

 

泣いて頼むまで避妊をしてくれないような彼氏はクソ野郎です。笑

正しい避妊を行わない彼氏とは1秒でも早く別れる事をお勧めします。

 

裸足で逃げる

最近、上間陽子さんの「裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち」を読みました。

ジュディス・L・ハーマンさんが1996年に執筆した「心的外傷と回復」からの引用でこんな文章が載っていました。

レイプされた後、頻繁に性交渉を重ねることはよくあることだ。

それは、レイプされたことがなんでもないことだからではなく、そのとき味わった恐怖を無化し、奪われたコントロール感覚を取り戻すために、もう一度同じような場面を再現して、今度こそ、その恐怖に打ち勝とうとして行われる。

それによって、自分は事件に負けなかったこと、変わらずに存在していることを、何度も何度も被害者は確かめようとする。

これを読んだとき、なるほど! となりました。

暴行のあと、性交渉が増えるのは頭がおかしくなったわけではなく暴行に負けなかったという事実が欲しいという訳です。

同じような経験を持った女性は多いのではないでしょうか?

絶対に自分を責めないでください、人間として自然な行動です。

 

上間陽子先生は沖縄の少年少女たちの間で問題となっている貧困と暴力について研究・支援されている琉球大学の教授です。

本の中に出てくる暴力は、私が経験したそれとは比べ物にならないほど残酷です。

そのような現状を知ると、ますます性教育の大切さと緊急避妊薬の周知が重要だと考えさせられます。

 

最後に「裸足で逃げる」よりもう一節引用です。

あなたが知っている生活が全てではないと、その医師の顔をひっぱたいてやりたいと私は思った。

これは、暴行や中絶に理解のない医師の言葉に憤りを感じた著者の言葉です。

患者さんにこのような気持ちを持たせる医療従事者にならないようにしたいです。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。