びるこブログ

ビールが大好きな病院薬剤師(育休中)

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悪意と無能は区別する必要がない

こんにちは! びるこです。

ブログ訪問ありがとうございます。

 

先日やっと私の病院もコロナワクチンのコミナティ接種開始となりました。

(23区内なのに、やけに遅かったです)

希釈と分注を担当していますが、初回10名くらいに見られながらの作業に緊張して手が震えて筋注用の針を1本へし曲げてしまいました。

力みすぎです。 すぐ力むのは、私の悪いところです。

慣れたらサクサク作業できるようになりましたので、一安心しました。

大きな会場で大量のワクチン希釈・分注を担当している薬剤師さんには頭が下がります。

 

さて、今日は海堂尊さんの「医学のたまご」を読んで素敵な言葉にたくさん出会ったので今回はそれを書いていこうと思います。

 

2008年の本ですが、ヨシタケシンスケさんの挿絵がなんともキュートです。

 

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あらすじ

中学生のボクが医学部で研究をすることになる、あり得ない設定のコミカル医学ミステリーです。

医学研究の裏側や闇を暴くところは読んでいて楽しかったです。

本編の内容を詳細に書くことはしませんが、各章のサブタイトルや本編中に出てくる言葉がいちいち素敵でハマってしまいました。

 

悪意と無能は区別がつかないし、つける必要もない

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共感と納得。

確かに、区別がつかないし、つける必要もなし。

 

病院での医療ミス等がそうですが、悪意があって故意に患者さんを死に追いやる行為はよほど頭がいっちゃってる医療従事者しかしないと思います。

 

しかし、被害者からすれば悪意の医療ミスも、無能ゆえの医療ミスも何も変わりません。

悪意があったかどうかで結果が変わるものではありません。

 

本人にはその気がなくとも、無能ゆえのミスは極悪非道な人間がする事と何も差がないということを言っているわけです。

 

(挿絵は可愛いのに)非常に厳しい言葉ですが、背筋が正されました。

命に関わる仕事での無能さは、悪。

勉強あるのみです。 頑張ります。

 

少し話が逸れますが、私がいつも気になってしまう言葉の一つに

「悪い人じゃないんだけどね」 というのがあります。

 

色々言った後に最後に付け加えられる「悪い人じゃないんだけどね」という言葉。

フォローなのか不明ですが、これを言われてしまう時点で「悪」寄りです。

悪意のあるなしは区別の必要がないので、無意識で悪い人になることだけは避けたいものです。

 

 

一度できた流れは、簡単には変わらない

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これは簡単には変えられない流れを変えるにはどうすれば良いか? と言う思考を投げかけています。

スポーツにも当てはまりますが、流れを変えるって一筋縄ではいかない。

 

私自身3年前転職した時に強く感じたことですが、ずっとそこにいる人達は自然に行なっている業務でも客観的に見ると無駄があったり改善の余地があったりするものです。

 

それを変えられるのは、新しい視点しかありません。

流れを変えるための選手交代ってチームスポーツなら鉄板です。

 

私は今の病院に転職した時に「郷に入れば郷に従え」スタイルで働く気でいたのですが、いざ働いてみると色々気になってしまい・・・

 

結局色々手を出し口を出し、副院長やら外科部長やら理事長やら、とにかく偉い人達に直談判までして流れを変えていった事がいくつかあります。

 

前の病院で学んだたくさんのことを転職後の病院でも活かしていきたかったし、それが患者さんや医療のためになると信じているから行動しています。

 

確かに「一度できた流れは簡単には変わらない」けど、簡単じゃないけど絶対に変わらないわけじゃない。

流れを変えるときは大変なことの方が多いけど、しっかりとガイドラインを示したり、リスクマネジメントの根拠を持って提案すれば、みんな耳を傾けてくれるし意見を採用してくれます。

 

これは作中に出てきた他の言葉とも繋がると思っていて

エラーは気づいた瞬間に直すのが、最速で最良だ。 

 

閉じた世界は窓を開けろ。 でないと必ず腐ってしまう。

 

科学を前にしたら大人も子供もない。

人の命に関わる医学では特にそうだ。

かっこいい! 痺れます。

何十年も働いている医師からすればまだまだひよっこの私ですが、意見を聞いてくれる先生方にはいつも本当に感謝しています。

 

ラクな道は敗北へつながることが多い

ラクじゃない方を選ぶ人は往々にして「変人」と呼ばれる。

そしてその中で成功した人を「勇者」と呼ぶ。

 

勇者って変人の中の変人のことだったのか! と謎に納得してしまったこの文章。

私は夫のことを変な人だと思っているので、いつか勇者になってくれたら良いなと思っています。

勇者ってなんだろうって思いますが、少なくとも安定ばかりを求めて冒険を怖がる人のことは勇者とは言わないですよね。

出会ってから今の今まで、安定感を発揮したことのない夫はきっと勇者へ近づいていっているに違いないです。

私は薬剤師という安定感のある仕事を全うしようと思います。笑

 

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 あとがき

海堂尊さん自身が医師であることもあり、医療にもっと馴染みを持ってほしいという気持ちがとても伝わってくる作品でした。

実は、文庫本のあとがきを読んで泣きました。

本編は泣く要素ゼロだったのにあとがきで感動するという・・・

 

生まれてから死ぬまで一度も病院と関わらないという人はいないはずです。

医療を身近に感じてもらいたいという海堂さんの思いがあとがきに書かれていて、ジーンとしてしまいました。

 

続編もあるようなので、いずれ読みたいと思います!

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感想(4件)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。