びるこブログ

ビールが大好きな病院薬剤師(育休中)

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薬の名前って呪文みたいだよね

こんにちは! びるこです。

ブログ訪問ありがとうございます。

 

今日は仕事でたまに出会う、薬の名前を全然覚えられない患者さんについて書きたいと思います。

 

呪文みたいにカタカナばかりで長いから、覚えたく無くなるのも分かります。

ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩! と唱えると扉が開きそうです。

 

覚えるの大変だけど、自分の命に関わる薬だけでも名前を覚えておくと緊急時に役立ったりしますのでおすすめです。

 

自分が飲んでる薬の名前、言えますか?

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病院薬剤師の仕事のひとつに、入院前の患者面談というものがあります。

手術に影響する薬を飲んでいる場合、手術前に休薬する必要があるため飲んでいる薬を全て確認するという業務です。

 

ここで薬を見逃すと、いざ患者さんが入院してきたときに

「え! これ飲んでたんですか! 手術延期です!」

なんてことになり、患者さんもしょんぼりですし、病院側もしょんぼりです。

 

今ですと2週間前から毎日検温をして、PCR検査もして、やっと入院という手順を踏むわけですからここで予定が狂うと皆困ります。

 

なので、取調べのごとくしつこく薬を聞き出すわけです。

 

結構しつこく聞くので 「え? なに、この人しつこい」 って思われてそうで不安になることもありますが、見逃した方が大事になるのですっぽんのようなしつこさでいかせてもらってます。

 

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スラムダンク井上雄彦

(こちらは、すっぽんディフェンスで有名な一之倉君です。 しつこく、我慢強い男です。)

 

薬だけでなく、サプリメントや健康食品でも中止対象のものがありますので、全部聞き出すまで取調べは終わりません。 

 

ここで問題となるのが、お薬手帳がない患者さんです。

忘れて来てしまったとか、元々使ってないとか状況は様々ですが、病院を受診する際は是非持ってきて欲しいと思います。

お薬手帳アプリでも良いです。

 

マイナンバーカードが保険証として利用できるようになることで、薬剤情報も閲覧可能になる予定ですが、まだまだ時間がかかりそうなので私たちの取調べは当分続きそうです。

 

 

手帳のない方は後日再度確認ということになりますが、飲んでいる薬の名前をバッチリ言える方は素晴らしく、助かります。

 

稀に、自分が何の薬を飲んでいるのか一個も分からないと言う方もいます。

色や形も分からなかったりして、もっと薬たちを見てあげて! と思います。

 

毎日飲む薬は、疎遠な家族よりも顔を合わせているであろう大事な存在です。

年に一回しか帰ってこない息子より、1日3回飲む薬の方が見る機会は多いわけです。

 

息子の名前を忘れないのと同様に、薬の色や形、名前も興味を持ち覚えて欲しいなと思います。

 

薬の名前には意味がある

カロリミット 

ガスピタン! 

ブレスケア! 

みたいに、わかりやすい名前ばかりなら皆覚えられると思うのですがそうはいかないのですよね。

 

医薬品の一般名は国際的に使用できるものなので、日本人が覚えやすいように作られていないものがほとんどです。

 

今話題のCOVID-19ワクチンのコミナティ:COMIRNATY

  • COVID-19
  • mRNA
  • コミュニティ:community
  • 免疫:immunity

4つの用語を組み合わせて作られたそうです。

何だかおしゃれです。

 

一般名は頑張って覚えるしかないですが、日本の製薬会社が付ける商品名は、意味を知るとなるほど! となるものもあります。

 

有名なのは、睡眠導入剤ハルシオンギリシャ神話に登場する、風波を静める伝説の鳥ハルシオンが由来というロマンチックな薬です。

 

利尿剤のラシックス内服後約6時間持続するため「last 6 hours」でラストシックス→ラシックスらしいです。

 

 

日々を共にする薬ですから、名前の由来なんて調べてみると愛着が湧くかもしれないです。

 

我が子への命名と同じように気合を入れて名付けているかもしれませんので、愛が詰まった名前のものに出会えたりすると面白いです。

 

興味がないものって覚えられない

私は道を覚えるのが大の苦手です。

地図アプリがあっても迷子になりますし、地図もぐるんぐるん回しちゃうもんだからどっちが進行方向かすぐ分からなくなります。

方向音痴は地図を回しがちです。

 

ランニングが趣味なのに道に迷うので、余計に走らないといけなくなったりします。

疲れます。笑

 

おそらく、私は道を覚える気がないのでしょう。

 

人の記憶について調べてみましたが、脳の海馬が「長期記憶」に移すべきだと判断する情報は2パターンあるそうです。

  • 繰り返し何度も入ってくる情報
  • 生命に関わる情報

 

なるほど! 自宅への道なんかは絶対に忘れません。

 

慢性疾患で飲む薬は、繰り返し何度も見る情報ですし、生命に関わる情報です。

 

「よく分からないけど、出されたから飲んでます」という受け身の姿勢でなく、生命に関わる重要なものとして、興味を持ってもらいたいと思います。

 

薬や自分の治療に興味を持ってもらえるように、薬剤師として工夫して患者さんと接していかないといけないなと感じる日々です。

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まとめ

  • お薬手帳は大切
  • 飲んでいる薬がさっと言えると緊急時や災害時に役立つ可能性がある
  • 薬の名前の由来を調べてみると面白い

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 新人薬剤師時代の薬と睨めっこした日々を書いた記事はこちらです。

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